お嬢さんの闘病から、心理学やカラーなどを学び、究極の音響楽器開発の道へ。音に対するこだわりにただただ脱帽です。

和真音さんが音響楽器「シンギング・リン」を誕生させたのは2004年。自身の緻密な設計と日本の卓越した匠の技によって奏でられる音色と振動は口コミで広がり、映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第6番・第7番』でも採用されました。その「シンギング・リン」の最大の特長が、一打で低周波から高周波まですべての周波数の倍音を網羅した「全倍音」を奏でられることなのです。

 「形状は仏具のおリンに似ていますが、単音ではなく、いくつもの音を同時に出していることがシンギング・リンの大きな特長です。60兆もの細胞や複雑な神経構造を持つ私たちには、多くの周波数が必要です。シンギング・リンは、生命と深く共鳴する全倍音を奏でるんですね」
 和真音さんが、イメージする音を求めてチベット密教の法具、チベタンボウル(シンギングボウル)をもとに開発した「シンギング・リン」ですが、できあがったそれは、チベタンボウルやクリスタルボウルとも違う唯一無二のものでした。
 「大きいボウルを「宇宙」、小さいボウルを「大地」と名付けていますが、この場に大小10個のシンギング・リンを置いたら、すべてのリンが共鳴して同じ音を出し始めます。そのように設計したとはいえ、実際には、精巧で緻密な職人の技無くして、こんな奇跡的な現象は起こりません」
 材質は、数種類の金属とガラス質であるケイ素を絶妙な配合で混ぜた特殊な合金で、すべて日本の職人の手作業。鋳型を使って鋳造した後、設計図通りの形にするために、1個ずつ手作業で丹念に削り出し、鍛え抜かれた耳と特別なチューニングメーターで精密な調音がなされます。
 製造を依頼したときにこだわったのが、どこをならしても複数の決まった周波数で鳴ることでした。おリンを手がける日本の工場にとってみたら、絶対に無理な話。設計図を見せながら説明しても、全く理解さえしてもらえなかったと振り返ります。
 いち主婦が、必然としか思えないような出会いの連続で生まれる「シンギング・リン」誕生の開発秘話は、著書『全倍音セラピーCDブック』に詳しく書かれていますので、ぜひ、お読みください。この経緯を知るだけで感動します。
 できたボウルは、円形の淵のどこを奏でても、360度同じ周波数と倍音列になるよう、完全に調音されているというから、音を追求し続けた和真音さんにも脱帽です。

水と同じ、人をチューニングする「シンギング・リン」

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 人間の耳に聞こえる周波数は、約20Hz〜20,000Hzといわれて、これを可聴音(可聴域)といいます。20Hz以下は「超低周波音」といって、聴覚では捉えられませんが、振動として触覚では感知されるものです。同じ周波数の中でも〝癒やし音〟と〝非癒やし音〟があり、その違いが倍音だと和真音さんは言います。
 「たとえば、ピアノで〝ド〟の音を鳴らしたら、その2倍音であるオクターブ上の〝ド〟や、3倍音である〝ソ〟も同時に鳴って(共鳴して)います。同じ〝ド〟でも、ピアノ、トランペット、バイオリンなど、楽器によってその音色が違うのは〝ド〟の音に含まれている倍音が違うから。癒やしの効果は、共鳴する倍音が多ければ多いほど大きくなるのですね」
 「シンギング・リン」の音を周波数メーターで測定すると上(高音部)も下(低音部)も針が振り切れてしまうために、実際にはどこまで出ているかわからないそうです。
 「低周波から高周波までの倍音が無限に連鎖して共鳴し合い、残響音の倍音列まで細かく規定し、作り上げているのがシンギング・リンです。倍音同士が美しいハーモニーを奏でながら、無数の周波数を放っている状態を私は全倍音と名付けていますが、チベタンボウルやクリスタルボウルには生まれません」
 和真音さんは、この周波数を浴びると知らず知らずのうちに心と体がチューニングされて調っていくという現象が起こると考えています。

シンギング・リンの中に水を入れて奏でると、中の水が見事に六亡星のかたちをつくります。この精妙なつくりから生まれる振動が、からだの深部に影響。不調が改善された方も多いと聞きます。

 「私たち人間には、いろいろな意見や思想がありますね。国も違います。そんな私たちが、真正面から対立するのではなく、最初にお互いにわかり合おうという気持ちを持って話し合いを進めることができれば、全く違う話し合いになると思ったのです。シンギング・リンの同じ周波数の音を浴びることで、人同士の共鳴が起こり、さらに広がっていくイメージです。
 シンギング・リンは個体差がなく、それ自体はチューニングの必要のない楽器です。また、音叉のような単音でもなく、何重にも組み合わされた倍音が、雑音な生き物である私たちに作用していけば、この音に耳を傾けるだけで誰もが心穏やかになり、この音を浴びた人たちの間で自然に周波数の共鳴が起こる。そんな世界ができると思っているのです」
 和真音さんによれば、大学との実証実験も積極的に行っていて、たとえば、慶應義塾大学とはシンギング・リンを聴いた後に人の感情をリアルタイムに測定できる「感性アナライザ」を使って脳波を測定すると、確実にストレスが低下し、沈静度が増すなど科学的な効果も実証されエビデンスも揃ってきたそうです。
 私たちは水視点から体を見たときに、病気とは水のネットワークのくずれから生じるのではないか。「ゆの里」に湧くお水を取り入れることで、その人の水のネットワークの乱れを調整し、チューニングする働きがあるのではないかと思ってきました。
 今回、シンギング・リンの存在を知ることで、その役割はお水と似たところがあると思えてなりません。