重岡社長に代わってお水のお話をすることも多くなった“よしこさん”。お客様からの信頼もあつく、会うだけで癒されます。

 「月のしずく化粧品」の前身、「ゆの里由来化粧品」が世に出たのは、1995年11月。同じ年にミネラルウォーター「月のしずく」も誕生しています。発売当時から化粧品を任せられていた「ゆの里」の安倍善子は、₃₀年近い化粧品の歴史を一緒に歩いてきた女性。
 開発者の堀内恒雄さんとの出会いから生まれた商品ですが、温泉施設「ゆの里」の2階で、ずっとお客様のお肌を見続け、重岡社長とはまた違った具体的なアドバイスで、お水とお肌との関係性を伝えてきました。
 「ゆの里」発信の化粧品を出す意味は何だったのか?
 安倍に話を聞きました。

肌トラブルに悩む方たちに。
この化粧品なら使える。

コスメ事業部責任者、安倍善子のことを私たちスタッフもお客様も〝よしこさん〟と親しみを込めて呼んでいます。
 「ゆの里由来化粧品の最初の試作品は化粧水だったと思います。大手化粧品会社の副社長を辞めて独立された堀内恒雄さんが、「ゆの里」のお水でぜひ化粧品を作りたいと言い、試作品を持ってこられたのです。ゆの里のお風呂は、当時からアトピーの方たちに多く利用されています。その方たちに試作品を試してもらったところ、今まで何を使っても刺激があって使えなかったのに、これは全然痛くならなくてしっとりしました、この化粧品を使いたいとお客様がおっしゃってくださったのです。
 また、別の膠原病の女性に使ってもらったら、病気や薬の影響からか、黒ずんでいた唇が、その化粧水をつけた瞬間にピンク色に変わって、パッと明るくなったのです。
 そのときは、ほんとうに不思議なものを見せられたように思いました。
 それまで、化粧品を作ることなど思ってもみなかった「ゆの里」でしたが、この化粧品はすごい。肌トラブルの方も使える化粧品ならきっとたくさんの方に喜んでいただけるに違いないと思ったのです」

昨年、90歳で亡くなられたミネラベール(株)会長の堀内さん。「ゆの里」の化粧品の基礎を作ってくださったご縁が深い方でした。

化粧品も主役はお水。

「ゆの里」のお水から生まれた化粧品だから名前は「ゆの里由来化粧品」。1995年に製品化された当初は「洗顔フォーム」「化粧水」「保湿クリーム」の3品のスタートでした。
 堀内さんの信念通り、化粧品はお水が主役といっても、その製造過程はかなり高度な領域です。「ゆの里由来化粧品」ができたときに、堀内さんは
 「高価な原料をたくさん入れるだけでは価値ある化粧品を作ることができません。それぞれの原料が持っている特性や相性を見極めて相乗効果が得られるように設計しなければなりません。特に、エネルギーの高い活性水は原料との相性をチェックする必要があります。エネルギーの高い天然水には自然の力や不思議な気が備わっているのではないかと、感じるものがあります」と、開発時のインタビューに応えています。
 堀内さんの会社で開発に携わった研究員も「ゆの里」の化粧品に多く使われている和漢の植物エキスについて、陰陽のエネルギーを考慮したと記しています。たとえば、ニンジンのエキスは身体を緩め、キュウリのエキスは穏やかに冷ますなど、絶妙なバランスを見ていたのです。コスメ事業部の安倍も
 「いくら高価で高性能な成分でも、アトピーの方にはエネルギーが高すぎると熱くなって刺激になるとか、逆にこの成分は冷やしすぎて血流を悪くするなど、肌触りのテクスチャーだけではない判断基準を私たちも持っていました。堀内さんが作られた試作品を手にしたときに、そのバランスが整っていて、肌トラブルに悩む世の中の人々を救うすばらしい化粧品ではないかと、感動した事を今でも覚えています」
 今でこそ、「ゆの里」には新しいラボができて、お水の構造を科学的に数値化することができますが、20年以上も前、堀内さんをはじめ化粧品開発に携わった人たちが、お水の働きに気づき、物質を見るのではなくエネルギーを理解して最良の化粧品を導き出していたことには驚くばかりです。

ヘッドマッサージのあと「月のしずく」のお水だけで頭皮を洗浄する「ヘッドスパ」。

肌環境を整えて、内も外も美しく。

 こうして生まれた化粧品をひとりでも多くの方に知っていただきたいという思いから、2階にコスメコーナーを設置し、実際にお客様のお肌に無料エステというかたちで体験していただくようになりました。
 「今はスタッフも多くなりましたが、当初は私ひとりで小さなカウンターとエステチェアからのスタートだったのを思い出します。初めはアトピーの方たちもたくさん来られました。「ゆの里」のお風呂に入って「月のしずく」と温泉水の「銀水」のスプレー、そして「ゆの里由来化粧品」を使ったら、長年、治らなかったアトピーが良くなったという口コミで、どんどん広がっていったようです。
 アトピーでどんな化粧品も使えなかったのに、「ゆの里」でスキンケアをしてもらったらきれいになってきたというような内容のお声が多く、この化粧品に出会えてほんとうにうれしかったと言ってくださいました。
 アトピーの方たちだけではありません。お顔中に地図のようにシミがあった方や、ニキビがひどくて治らない方など、お肌にトラブルをお持ちの方がきれいになっていかれると、表情が明るくなります。中には、人生が変わったとまでおっしゃる方もいます。
 そういうお声をお聞きして、また、直接お肌にふれて思うのは、人体の最大の臓器といわれる皮膚を整え、大切にしてほしいということです。健康のために「月のしずく」を飲み、良い食材、野菜を選んで食べることと、それは同じだからです。
 肌環境が整えば、微生物である皮膚の常在菌のバランスも整います。そうすることで、身体の内と外が呼応して共鳴する。つながっている身体の内側から外側までぐるんと流れながら循環してくると、お肌にも透明感とツヤが出ます。
 みなさまに、内からも外からも美しくなることを意識していただきたいですね」
 そして、コスメコーナーは2年前。新型コロナウイルスの影響で三密を避けることも配慮して、20年以上続けてきた無料エステを完全に廃止。オープンスペース以外に個室も作り、ようやく一般のエステルームのような落ち着いた佇まいになりました。

今伝えたいのは〝飲む月のしずく〟と
〝ふれる月のしずく〟のつながりです。

 2014年「ゆの里由来化粧品」は「月のしずく化粧品」と名前を変えました。と同時に、ミネラルウォーター「月のしずく」を〝飲む月のしずく〟、化粧品を〝ふれる月のしずく〟と位置付け、内と外のお水のつながりを強調しました。
 内と外のお水の響き合いが大切であることは、20年以上もお客様のお肌に接してきた安倍たちスタッフは熟知しています。お肌につけるものがお水でできているからこそ、ミネラルウォーター「月のしずく」を愛飲してくださっている方たちには、この響き合うつながりを体感していただきやすいと確信しています。
 「例えば、ヘッドスパをさせていただいた時、「月のしずく」を飲んでいらっしゃるお客様の場合は、とくに髪の毛がしっとりして、ツヤが出ます。ドライヤーをかけて乾かした後、天使の輪ができるのですね。髪の毛は東洋医学では血余といわれています。血液の余りが髪の毛に行くのであれば、「月のしずく」を飲んでおられる方に違いが出るのは納得できるかもしれませんね」
 とくにコロナ禍の環境下では、安倍を含め「ゆの里」で働く私たちはなおさら、内と外が整う大切さを痛感します。
 新しくできた「ゆの里アクアフォトミクスラボ」では、植物の生体水を抽出した新たなスキンケア商品の研究も進めています。
 変えるものと、変えない、もっというと変えてはいけないもの。
 この2つの軸をしっかり持ちながら、「ゆの里」のお水を最大限に生かしていく新しい化粧品開発のスタートです。
 ミネラルウォーター「月のしずく」と同じ年に生まれた化粧品は、これからますます、「月のしずく」と対となって進みます。 2022年、35周年を迎える「ゆの里」の、また新しい挑戦が始まりました。