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【9】「ゆの里」のお水は細胞の中まで入っていく感じがします。

日本の伝統食は薬膳そのものだとおっしゃる武先生

東京薬膳研究所代表で食養研究家の武鈴子先生をご紹介します。武先生は、南海電鉄の主催する「ゆの里」への日帰りフリープラン「美味しくヘルシー・きれい旅」のためのメニュー「美肌薬膳」の献立づくりを監修されたことをきっかけに、「ゆの里」へ度々お見えになっています。薬膳に関する教室、講演会や執筆活動で日々多忙な武先生に、本紙も取材をお願いしたところ、お仕事の合間にお時間をいただき、お水と「食」について、お話しくださいました。

●「ゆの里」のお水の印象をお聞かせください。

私は、元々水に非常に関心があって、過去に水の事を色々と勉強してきました。それもあって国内・海外どこに行っても必ずその土地の水、レストランならその店の出す水を味わう事にしています。私の感じる美味しい水というのは、ほのかな甘みがあって口にしたとき非常に柔らかい。それが私の基準なんですね。「ゆの里」へ行ってお水を飲んだ時には、何の抵抗もなく身体の中にスーッと染み込んでいくような柔らかさを感じました。普段、水というのはある程度飲むと、もう要らないというか、飽きが来る感じがするんですけれども、「ゆの里」では色んな話をお聞きしながら次々と何杯水を飲んでも、不思議とそれがスーッと身体に入っていく。細胞の中にどんどん入っていく水なんだというふうに感じました。逆に、細胞の中へ入っていかない水が飽きてしまう水なんだと私は思っています。
 良い水を見分ける一つの方法として、水出し茶をつくることを、私はおすすめしています。最初の一〇分間でお茶の甘味成分が出てきますので、その色の出方や飲み比べた時の甘味の程度で、よりお茶の成分を引き出す水が良い水だと言えるからです。
 それが「月のしずく」で、お茶を水出ししてみたら、飲む前にまず香りを感じたんです。これまで出会った水では、そんな経験はなかったので、すごくびっくりしました。それで、この水は本物だ。相手の持っている良さを全部引き出してくれる、ものすごくパワーを持った水だというのを感じ取ったんです。
 身体を作ってくれるのは、口から飲んだり食べたりするものだけですから、自分の身体を大事にしたいと思ったら良いものを入れる。食べ物は米でも野菜でも土から出てきますが、土の中の水が良くないと良い植物は育ちません。結局基本は全部水なんです。

●水分摂取の重要性はよく語られますが、水の質まではあまり話題になりませんね

 ですから、お医者さんはどんな水が良いのかっていうことを言わないと、健康のために飲んだつもりでもそれが逆に健康障害をきたしてしまうことになりかねない。細胞の中に入っていかない水は、身体にとって余分な水分なんですね。それを排尿で出すとなると腎臓に負担がかかる。ですから良い水を飲むということは腎臓の働きを助ける事になるんです。水の質によって、それが身体に本当に有益に働くものなのかどうかを考える必要があります。
 水は命の元です。人間は水無しには生きられない。身体の中の約2/3が水ですけれども、水がそれぞれの細胞の中にちゃんと入っていって、内臓全体の働きを促進させるのは本当に良い水でないとできないと思うんですよ。あらゆるものの基本がすべて水であって、食品でも何でも物質の変化はその中の水分子の変化なんだと。それが、これまで水について学んできた中で得た私なりの結論なんですけど、水があらゆる物を支配し、全部変えていく。良い水というのはパワーのある水、エネルギーのある水ということですからそれだけエネルギーを持った水は相手をどんどん変化させてしまうんです。ですから良い水が出る、良い水が流れている土地の食材は自然と美味しくなる。今、中国は水が良くない所が多いですが、美味しい水の出る山の麓ではお豆腐と野菜が美味しいんです。「ゆの里」の食品もすべてそうですが、特に胡麻豆腐なんて本当にぷるんぷるんとした弾力があって柔らかく、水の違いがよく表れていると思います。市販の胡麻豆腐にはない食感ですね。

●薬膳と「五味(ごみ)」について教えてください

 薬膳は中国の「陰陽五行理論」が基本となっています。「陰陽」とは相反する二種類の「気」のことで、陰と陽は相反するエネルギーを持っています。自然界は常にこの相反する二つの側面で成り立ち、これを陰と陽で表したのが「陰陽論」です。
 一方、自然界のすべてのものは木=植物、火=熱、土=土壌、金=鉱物、水=液体の五つによって構成され、これらは自然界に欠くことのできない元素のようなものである、という概念から生まれたのが「五行学説」です。この五つの元素を「五行」といいます。
 人間の身体では肝は木、心は火、脾は土、肺は金、腎は水の五行に配当され、さらに五臓を補助する胆、小腸、胃、大腸、膀胱は「五腑」に分類され、それぞれ肝と胆、心と小腸、脾と胃、肺と大腸、腎と膀胱は一体となって働きます。これが東洋医学の五臓五腑です。「陰陽五行理論」は「陰陽論」と「五行学説」が結びついたものであり、薬膳をはじめ東洋医学では、現在も食養生や病気の治療の原則となっています。
 自然界にあるものすべてが五行に分類されるように、食物もまた例外なく五行に分けられます。これを「五味」といい、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(塩辛い味)の五つの味で構成されます。五味は、体内に入るとそれぞれ決まった臓腑器官に働きかけます。酸味を例に上げると肝臓、胆のうに働きかけ、肝機能が低下していたらその働きを補い、胆のうが疲れていたら養うように作用し、さらに眼、筋(靭帯)にも働きかけます。

●五味のバランスが大切だということでしょうか

五味の全部が食事の中に何らかの形で入っている、これがバランスのとれた食生活。五味の調和というのは五臓の調和なんです。それを端的に表している例が、梅干し入りの塩むすびとたくあん二切れです。ご飯の甘味で脾臓の働きを助け、塩は腎臓、梅干しの酸味が肝臓、たくあんは大根の辛味で大腸。本来のたくあんはクチナシで染めますが、クチナシの苦味は心臓の働きを助ける。完璧なんですよ。これは最高のダイエット食です。麦は四十五分で消化されますが、米は二時間かかります。パンや麺を食べるとすぐお腹が空くので間食をしたくなる。しかも梅の主成分のクエン酸はあらゆるものを最終的に炭酸ガスと水に分解する働きがありますから、クエン酸が主成分になっている梅を食べていれば余分な脂肪がつきにくいんです。これほど優れたダイエット食はないですよ。日本の伝統食は薬膳そのものなんです。

武 鈴子(たけ りんこ)氏 プロフィール

1937年鹿児島県生まれ。
’70~’85年柳沢成人病研究所に勤務し、成人病と食生活の臨床研究と指導に従事。この間の長い経験から『食は薬なり』を実感し食養の研究に入る。
’86年中国医学の一分野としての「薬膳」の研究のため訪中。薬膳の本拠地四川省成都で薬膳師・孫蓉燦氏に師事、薬膳理論・料理技術を学ぶ。東洋医学を日中医薬研究会会長・渡辺武薬学博士に師事、日本の気候風土に合った薬膳理論を学ぶ。
現在、(有)東京薬膳研究所主幹、食養研究家、日中医薬研究会会員。薬膳料理教室運営、健康食品業界コンサルタント、健康食品開発指導などに携わっている。