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【7】「生命体である水を考える」 ツェンコヴァ・ルミアナ×龍村仁

トークは、終止和やかに進みました。どのお話も興味深く、あっという間に感じられる2時間でした。

2012年10月、天然温泉「ゆの里(和歌山・神野々)」創業25周年を記念して、
愛用者である神戸大学教授ツエンコヴァ・ルミアナさんと
『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』の監督・龍村仁さんによる
対談が行われました。
ガイアとは「水の惑星」の意。
~水は一つの生命体で、自らの意思で中心を保つ。
そして他の生命に生きる力を与えている~

映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』に出てくるフレーズです。
ふたりの観点から、水の本質の一旦が垣間見えます。
(聞き手は映画監督・入江富美子さん)

ガイアシンフォニー上映会&トークライブ

神戸大 ツェンコヴァ・ルミアナ教授

11月4日、イベントの最後を締めくくるのはドキュメンタリー映画、ガイアシンフォニー〈第七番〉の上映会とトークライブでした。映画上映のあと、この作品の龍村仁監督と神戸大学農学部のツェンコヴァ・ルミアナ教授、そして映画「1/4の奇跡」の入江富美子監督によるトークが繰り広げられました。お話は、主に水をテーマにすすめられ、会場に詰めかけた参加者の皆さんは最後まで熱心に聞き入っておられました。ここにほんの一部ですが、お話の内容をご紹介させていただきます。(敬称略)

『水は一つの生命体で、自らの意志で中心を保つ。そして他の生命に生きる力を与えている』

入江「本日の進行を努めさせていただく入江富美子です。どうぞよろしくお願いします。地球は『水の惑星』、『ガイア』等とも呼ばれます。そして、今日のガイアシンフォニーの中にたくさんの素晴らしい言葉がありました。『水は一つの生命体で、自らの意志で中心を保つ。そして他の生命に生きる力を与えている』という言葉が凄いと思ったんですけれども、龍村監督の観点から、皆さんに何かメッセージをお願いします」

龍村「例えば、水というものを単なる物質と捉えて、そこに何が溶け込んでるか、その物質レベルでミネラルが何%だとこれはいい水で、そうじゃない水は駄目な水だという考え方がある訳ですね。だけど本当は、水は生命体でもあるんだということを、ちゃんと感じ取れるような状況になってこないことには、結局どんどん、その水のシステムを破壊して、自分自身を破壊して、そして我々人類という種がひょっとするとこの地球全体の生命システムから排除されるようなことになる可能性を秘めているという思いがあるんです。
 で俺は、このガイアシンフォニーを作って行くプロセスの中で不思議な体験というのをたくさんするんです。撮影で奈良の天河神社に行った時、ちょうど正遷宮といって新しいお宮が出来て完成する神事がある時で、そのために大峰山の一番高い、弥山という1800m以上ある山を登って、その神事に使うお水と火をもらってくるという行事に、同行させてもらったんですが、これが大変だった。登っている途中に突然ものすごい雨が降り出して、もう雨でバチバチ打たれるし、急な坂道で泥道で、滑るし、重い撮影機材は持ってるし、すごく疲れてきて、どうしようっていう感じだったんだよね。ところが面白いことにバーっと雨に打たれてるうちに、ある時急に全然平気になっちゃった。最初は雨に打たれて寒いとか冷たいとか、着てるものがびしょびしょになるから嫌だっていうような気持ちがあったのに、急にそれが気持ち良くなってきた。雨に打たれてる事によって、自分の中の何かが変わってくるような感じがして、俺の身体と降りかかってくる水との間に境目がないような体感が出てきた訳ですね。その時に、ひょっとしたら神道でよくやってる禊っていうのは、こういうことなのかと、ふと思ったんです」

入江「天照大御神様も、禊をされたという事が書物に残っているそうですけれども、今日の映画の中でも『昔の叡智は未来の科学』っていう言葉がありました。
そこで次に、ツェンコヴァ博士に科学的な観点から、お水についてのお話をお願いします」

ツェンコヴァ「私は近赤外分光法という技術を用いて、光と水の相互作用を利用したアクアフォトミクスという分析手法で、生体診断を行うという研究をしています。近赤というのは、「可視光(目に見える光)」と「赤外線」の間にある、たった2000ナノメートルぐらいの、電磁波の中では非常に短い領域ですが、その光が水との相性が良くて、まるで水がこの近赤の光と会話しているみたいなんです。水は、その光をある程度吸収して、あとは外に戻してくれるんです。ですから外に出てる光を測れば中にどれぐらい入ってるか分かりますね。するとそのスペクトルができます。スペクトルパターンというバイオマーカーになっているんです。身体のスペクトルを測る時、身体の中に近赤の光が入って戻ってくる、水を見た光を私達は分析してるんです。ですから、この光を使えば水の状態が分かります。ここまでは理解できましたね?OK(笑)
 お湯を沸かすと蒸気が出るのは皆さんよく知っていると思いますが、ボトルやコップに入った水の中にも蒸気も氷も入っています。だけど目で見えない。何故かというと比率の問題で、蒸気も氷も非常に少ない。それが、水の温度を変化させれば蒸気が見えたり、氷が見えるようになりますね。この水に近赤の光をあててスペクトルをとると、水がエネルギー毎にキチンと、ある程度吸収して、ある程度外に出す。そうすると外とコミュニケーションできます。面白いのは、いくら温度が変わっても、あるエネルギーは変わらないのです。いつも同じ光の量を吸収している。そこが重要なポイント、ヘソなんです。
 そして面白いことに水分子は、ものすごく繊細というかセンシティブで、すぐまわりの影響を受けるんです。どんなふうに受けるかというと酸素と水素の距離が短くなったり長くなったり、角度が小さくなったりする。今、私達が呼吸しているだけで、私達の水が動いてるんです。このことから色んな説明が出来ると思いますが、さっき龍村監督が、雨に濡れて山に登った時、身体の熱のまわりは蒸気という水の構造なんですね。ですから、たぶんどこかその辺に理由があると思います。
 水分子はネットワークを作っています。水分子が繋がって、グループを作っているんです。そして色んな水分子の組み合わせがそれぞれ機能を持っています。ですから、たとえば蒸気の時は比較的自由。私は自由分子と呼んでいますが、いつも例えるのは、若いうちにエネルギーがいっぱいあって一人でも色んな事ができる。旅行もできるし、どこへでも行けるのは、自由分子と同じなんです。それが、少し歳をとって家族を作ると、水分子2つが1つの結合になって機能が変わります。自由がちょっと制約される。だけど、その代わりに子供を産むことができますね。すると今度は3人になりました。子供が生まれて結合が2つできる。そこでまた機能が全然違ってきます。子供を育てなければいけないから働き方が変わるんです。水分子でも、結合が2つか3つか4つかっていう、それぞれの構造によって全然違うエネルギーを吸収しています。その中で、私達が見つけたのは12バンドです。12の違った機能を持っているという事です。たとえば、水分子の温度が上がると自由になって温度が下がると結合をたくさん作ります。人間の健康は、身体の中の結合した分子の氷と自由分子である蒸気のバランスにあるので、そこが崩れたら病気になります。だから映画の中にもあったように、私たちの病気は私達自身が作ったものなんです。そして、緊張やストレスは少しは必要だけれども、多くなり過ぎたらバランスが崩れるんですね」

入江「ツェンコヴァ先生のお話と、ガイアシンフォニーを観て、本当に重なるところが多いと思ったんですけれども、昔の日本人は安定というのを止まった状態とは捉えていなかったそうなんですね。そして実は、ヤジロベエのように揺れている状態こそが安定なんだっていう考え方で日本人は生きてたって、私は教わったんですけども、そのヤジロベエの重心部分ががぐらつくとやっぱりなかなかバランスがとれていかないと思うんです。それが、映画の中でアンドリュー・ワイルさんが動的平衡、安定状態は絶えず動いている状態だっていうところと、ものすごく重なると思ったんです」

健康状態っていうのは、ある種の平衡状態

「ガイアシンフォニー」龍村仁監督

龍村「健康状態っていうのは、ある種の平衡状態なんだけど、それは、ある基準に当てはめて、ここから上は平衡が保たれてるけど、ここから下になったら病気だっていうようなもんじゃないってことなんだ。人間には、ちゃんとある種のバランスを保っていくことができる力が秘められていて、それが自発的治癒能力っていう言葉でアンドリュー・ワイルは表現しているわけで、常に双方向の色んなダイナミックな動きをし続けながら、ある種の調和のとれた状態というのを作り続けるというのが、たぶん健康ということなんだよと。ところが全体としてバランスを失って、本当の意味で生命システムの動的平衡がとれない状態になっちゃうっていう、これが病気だなっていうふうに思う。そこのところで、心と身体の関係っていうのがあるんだなと。じゃあ、心を何か良い方向にもってきてくれるものに何があるかっていうと、俺は水が関係しているんじゃないかって思うのね。何でかっていうと、川を見てると分かる。うねりながら渦巻いたり、すごく気持ち良さそうだよ、その時の水は。ところが治水ということだけを考えて、真っすぐにしか川が流れないように土手を作ったら、確かに水はある程度安定して流れてるように見えるけど、どうも元気がなくなっていくっていう感じがして、今度はダムに行って止められて、ジーッとしてると、また何かだんだん生きる力を失っていってるみたいなところがあるから。ダムを造った理由は、洪水が起こんないようにとか、あるいはダムによって電気エネルギーを作るとか、それ自体は別に悪いことではないんだけど、それをやったために水そのものが元気を失っちゃって何か悪いものになってくるのを、塩素だ何だって毒を入れて、病原菌だけ殺すみたいなことをやってるうちに私達の身体がいつのまにか壊されていく。どうも、その事と心が、すごく深く関係していて、水は心の状態を作るというところまでの何かがあるんじゃないかなって思うんですね」

何かそれを感じた時に、実は自分の水に責任を持つ

「1/4の奇跡」入江富美子監督

入江「私も、ツェンコヴァ博士と仲良くさせていただいてから自覚できた事なんですけれども、家で除湿器を置くといっぱい水が溜まるじゃないですか。ということはこの空気中にもたくさんの水がある。ですから私達の70%の水と、龍村監督とツェンコヴァ博士の水70%と、この空気中の水で関係し合ってるっていうことなんですね。何かそれを感じた時に、実は自分の水に責任を持つというか、自分がどういう情報を持った水で生きるかっていうことは、この近くにおられる方に何かすごく影響を与える、転写していくんじゃないかなあと思うんですけど、どうでしょうかね」

水は非常に賢くてフレキシビリティー(柔軟性)を持ち、順応性、合わせるという事を最もきれいにやっています。

ツェンコヴァ「水は非常に賢くてフレキシビリティー(柔軟性)を持ち、順応性、合わせるという事を最もきれいにやっています。水分子の組み合わせで、環境に合わせようとしているのは、そのグルーピングです。水の構造で環境に合わせるんですね。だから私達も、一人の人間が一つの水分子としてフレキシビリティーを持つことが社会の色んなグルーピング、社会のつくり方の知恵ですね。私が、それを学んだのは日本です。世界中で、それが一番よくできているのが日本だと思います。私は、日本には特別な役割があると思います。日本の中だけじゃなくて、これからの世界における役割はものすごく大きいです。そういう、フレキシビリティーを持っているという知恵を是非、世界に差し上げてください」

龍村「そこに日本人の、彼女が言ったすごい重要な役目があって、科学技術を進歩させるような知性というのは、やっぱり冷静に物事を客観的に細かく見て、科学的に理解する。と同時に、大いなるものをスッと受け入れる。それは何を意味するかっていうと、自分と違うものも受け入れられるという多様性を、ちゃんと持っている。グルーピングと彼女は言ったけど、その多様なものが多様な未来に共にどこまで受け入れられるかっていうことを、両方出来る文化背景を持っている私達は、将来の地球と人類の関係における大きな責任を背負ってるよということだと思います。
 映画でのアンドリュー・ワイルの言葉じゃないけど、悲観的にならざるを得ないような状態もちゃんと見つめて、だけどポジティブな未来を思い描き、それでこの二つが対立するから、それをどうやって一緒にしたらいいのかなっていう時に、あの最後の質問ですよ。『あなたは地球の未来、いや人類の未来について楽観的ですか、悲観的ですか?』って俺が聞いたわけで、その時に間髪入れずに『YES!』と大きく言ったんだけど、そのあと『ALWAYS BOTH』両方だと。悲観的であり楽観的だっていうふうに言った。じゃあ答えになんないじゃないのって思うでしょ?だけどその次に、彼はウワッハッハッハって腹の底から笑ったんだよ。要するに、対立したり矛盾してるものを越えていくのにも、どっちが正しいかという事よりは、それ全体を含んで微笑めるとか、大笑いできるとか、そういう心境が未来を作るんじゃないかと思います。」
入江「私は、古神道をされてる方から新しきものは滅びていく。古いだけのもの、古きものも滅びていく。古くて新しいもののみが栄える、みたいなことをお聞きしたんですね。では、古くて新しいものは何かっていうと、太陽は昔からあるけれども、毎日新しい太陽が昇ってくる。そういうものが古くて新しいもの。この水もきっと太古からあるけれども、川の流れや色んなもので毎回きれいに新しくなっていくもの。
何かそういうものを、私達はずっと実はそういう情報をいただきながら生きてるんだなあと、このガイアシンフォニーの映画を観て、このお話の流れで感じさせていただきました」

ツェンコヴァ「毎朝、日の出を見ると、その光が私達の水の情報を全部取り出して外に出している。その情報がみんなに影響を与えている事、それを忘れず自分が責任を持って、世の中の平和を保って幸せになりますようにと、がんばるしかないですね」

入江「龍村監督、ツェンコヴァ博士、本日はどうもありがとうございました」_

ツエンコヴァ・ルミエナ / 龍村仁 / 入江富美子

ツエンコヴァ・ルミエナ
ブルガリア出身。神戸大学教授。生態計測工学研究室室長。近赤外分光法に光と水のインタラクションを利用した「アクアフォトミクス」という新たな分析手法を提唱。ゆの里に湧く水に興味を持ち、生き物の世界を光と水で解き明かす。
龍村仁
有限会社龍村仁事務所代表。1940年兵庫県宝塚市出身。京都大学文学部美術科卒業NHK入局。ドキュメンタリー監督。主な作品『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』。長年にわたるゆの里の愛用者。
入江富美子
映画監督。大阪府出身。『1/4の奇跡~本当のことだから~』『天から見れば』など、プロデューサー兼監督も手がける行動派。